「働く意味」の見つけ方 杉浦健 著 近代セールス社
本のテーマは「自分の働く意味を明確にすることが、よりよく働くための究極のHOW TOとなる」という事。
様々なアスリートやビジネスパーソンの実話を引用して、次のような事を教えてくれ
る。
・目的のない目標は力にならない。
・勝つためには、勝つこと以上に価値のあるものを探せ。
・つまずきや迷いもマイナスにならない。
・変わりたいと思うことで、人は変る。・・・etc
スポーツ心理学、教育心理学の分野で"やる気"を研究している著者は「働く意味」を
探すことが何をもたらすかを熱く語る。(詳細はぜひ読んでほしい:特に壁にぶち当
たってもがいている方は必読です。)
その本の中で主張している特に印象に残った二つの心の仕組みを紹介しよう。
1.意味はそれを求めている人に見出される。
人は変わりたいと思う事で「変わるための準備(レディネス)状態」に自らを置く。
人間の認知的特徴がそのような性質になっているのだそうだ。
ワイワイガヤガヤしているパーティー会場で自分の関心のある例えば好きな人の名前、剣道の話題が遠くで話されているにも関わらず突然聞こえてくる。(これを心理学ではカクテルパーティー効果というらしい)
我々は関心のある情報に自動的・選択的に注意を向け取り入れている。
「この仕事には自分にとって何か意味があるはず」と思い込むことによって、意味を見つけるためのアンテナが立つ。
2.行動することそれ自体がやる気と意味をもたらす。
ヤル気は待っていても出るわけじゃない。やる気を出すためには、まず行動して、やっていて楽しいとか、見通しがつくとか、自分がめざすものに近づいているという心地よい感覚「意味感」を持つことが大切だと著者は語る。
そして最後に
働く意味はすぐに見つかるわけではない。
今は何のために何故やっているのかわからなくても、そこには意味があり、ゆくゆく
充実感につながっていく。そのことを理解しておくこと。そして分からないからと
言ってただ考えているだけでは無く、意味を考えながら行動しつづけると、自分が求
めている何かがアンテナに触れ、ある日突然、埋められていた宝物が見つかるように、「働く意味」に気づく転機が必ずある。と説く。
働き続けるエネルギーが貰える一冊だ。
ここで論じられている「働く意味」を「剣道をする意味」に置き換えて自分に問う。
全剣連の理念ではない自分自身の剣道をする意味の探求。
すぐに見つからなくとも、意味を考えながら稽古をすることでいつか気づく時がくるのだろう。
今は正直、よく分からない。何故27年ぶりに剣道を再開したのか
週一回の一本の面打ちが非常に価値あるものに感じられてくるのは気のせいか・・・