「日本で一番大切にしたい会社」坂本光司著
もう読んだ方もいると思う。
著者が日本全国、自分の足で訪問し、そう感じた会社を5社紹介している。
その中で日本理化学工業株式会社というチョークを製造している会社が最初に紹介されている。
二名の知的障害者を50年前に採用した時の感動的なエピソードが載っているが
今では社員の70%が知的障害者だと言う。
それほどまでに障害者雇用に尽力してきたその会社の社長も
当初、一つだけわからないことがあったと話す。
会社で働くより施設でゆっくり休むほうが楽ではないかと思っていた社長は
なかなか言うことを聞かずミスばかりする障害者社員に
「施設に返すよ」と言うと泣きながらいやがったそうだ。
社長は当初、その気持がわからなかったと言う。
ある時、その話を禅寺の坊さんに話したら
その坊さんは「そんなことは当たり前だ」と話したと言う。
坊さんは
幸せとはな
�@人に愛されること。
�A人にほめられること。
�B人の役に立つこと。
�C人に必要とされること。
�A�B�Cは施設では得られないでしょ。
この三つは働くことによって得られるだ。
と諭されたそうです。
社長は「人間にとって、"生きる"とは、必要にされて働き、それによって自分で稼いで自立すること」という事に気づき、それならそういう場を提供することこそ、会社にできる社会的使命なんだと考え、以来50年、障害者を雇用し続けているのだそうだ。
私はこの本をずいぶん前に買っていた。
でも読み始めて、あまりにも自分の会社との違いに愕然として、本を読むのを途中で止めた。読めなかった。
「働くことの意味が分からない」と思う就活生、高校生はぜひ一読してほしい。
そして不遇を他責にする者には必読の本だと思う。